神港教会説教
2004年1月18日


「税金を納めるイエス様」
マタイ17:22-27

 イエスは言われた。「では、子供たちは納めなくてよいわけだ。しかし、彼らをつまずかせないようにしよう。湖に行って釣りをしなさい。最初に釣れた魚を取って口を開けると、銀貨が一枚見つかるはずだ。それを取って、わたしとあなたの分として納めなさい。」(26・27節)

 説教準備中に、「天皇家の財布」という本を手にしました。相続税とか印紙税は支払われているそうですが、天皇家は、所得税や住民税を免除されています。皇室の財政は、警護の人件費等も含め、すべて税金で賄われています。国民一人の年間負担額は、214円です。今も昔も、王家は税金を使う側であり、王の子が、税金を払うことはありません。この論理からすれば、神の子であるイエス様は、父なる神の神殿のために、税金を払う必要はありません。

しかし、イエス様は、人々を躓かせないために、税金を支払うことを良しとされました。神殿税は、神殿修復のために用いられます。神殿税においては、金持ちと貧乏人の区別はありません。神の御前に人は皆同じであり、皆が同じ額を出し合って、それで神殿の補修がなされていました。イエス様が神の子であるから神殿税を払わないと主張しても、イエス様は神殿税の精神に反していると、人々は誤解したことでしょう。イエス様は、人々を躓かせないために、神の子としての権利を主張しないでおく自由をもっておられます。

  ここで、奇跡が起こります。イエス様は、銀貨を飲み込んでいる魚がペトロの釣り糸に掛ることもご存知で、ペトロに釣り糸を垂れることを命じられました。この銀貨は、丁度、イエス様とペトロの二人の税金額に相当するものでした。神殿に税金を納めるだけなら、財布から普通に納めれば十分です。この銀貨一枚を得るために、イエス様が全知全能の御力を働かせたと説明するのは、何か大げさです。では、この奇跡の意味は何でしょうか。

 この奇跡は、当時、弟子達が、受難の予告を聞き、ひどく悲しい思いをしているときに行われました。ペトロは、エルサレム神殿を敵に回すことを恐れています。イエス様は、この奇跡を通して「父なる神様が、神の子である者は自分で払う必要がないと、備えてくださったのだよ。また、父なる神様はあなたの分も備えてくださったよ」と、怯えているペトロに語りかけておれます。ペトロは、「イエス様は、本当に神の子だ」と驚くだけでなく、「イエス様同様、自分も税金を免除されている神の子だ」と喜んだことでしょう。天の父なる神様は、神の子である自覚を育み、人を躓かせず義務を果たせるようにと、祝福してくださったのです。暗い十字架に向かう道のりに、微笑みが溢れています。
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